
【毛玉対策】「ゲーッ」と吐くのは当たり前? 「毛玉ケアフード」の仕組みと、逆に吐いてしまう意外な落とし穴
2025年11月30日
📑目次
夜中に突然響き渡る「ケッケッ…ゲーッ!」という音。
飛び起きて掃除をしながら、「また毛玉か…」とため息をついた経験はありませんか?
猫はきれい好きな動物なので、起きている時間の多くを「グルーミング(毛づくろい)」に費やします。
その際に飲み込んでしまった毛を吐き出すのは、ある種「猫の宿命」とも言えます。
しかし、「猫だから吐くのは当たり前」と放置するのは危険です。
頻繁な嘔吐は食道や胃を荒らしますし、万が一、毛玉が腸に詰まれば「毛球症」として開腹手術が必要になることもあります。
この記事では、多くの飼い主さまが頼りにしている「毛玉ケアフード」の驚きのメカニズムと、選び間違えると逆効果になる「繊維質の罠」について解説します。
1. そもそも「毛玉ケアフード」は何をしているのか?
ペットショップには必ず「毛玉ケア(ヘアボールコントロール)」と書かれたフードが並んでいます。
あれは一体、普通のフードと何が違うのでしょうか?
答えはズバリ、「食物繊維の量」です。
- 普通のフードより「食物繊維」を多く配合している(通常3%程度のところ、6〜10%など)。
- 豊富な繊維が、胃の中の毛を絡め取り、「うんち」と一緒に排泄させることを促す。
つまり、毛を「溶かす」のではなく、繊維の力で胃腸を刺激し、「下から出す」手助けをしているのです。
うまくいけば、吐く回数が減り、スルンと快便になります。
2. 逆に吐く!? 「食物繊維」の落とし穴
「じゃあ、毛玉ケアフードを食べさせておけば安心ね!」
…と思いきや、ここに大きな落とし穴があります。
実は、「毛玉ケアフードに変えてから、かえって吐く回数が増えた」という相談が後を絶たないのです。
原因は以下の2つです。
① 繊維が多すぎて「便秘」になる
食物繊維(特に不溶性繊維)は、うんちの嵩(カサ)を増やします。
しかし、水分不足の猫が大量の繊維を摂ると、うんちが固くなりすぎて詰まってしまう(便秘)ことがあります。
出口(腸)が詰まれば、入り口(胃)から吐くしかありません。
② 胃腸への刺激が強すぎる
繊維は「消化されない」成分です。
お腹がデリケートな猫にとって、大量の繊維は胃腸の粘膜を刺激しすぎてしまい、その刺激で嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。
3. 「毛玉ケア」の正しい選び方
パッケージの「毛玉ケア」という言葉だけを信じて選ぶのはギャンブルです。
愛猫の体質に合わせて、「繊維の量(粗繊維のパーセンテージ)」を確認する必要があります。
パターンA:便秘がちで毛玉を吐く子
繊維が多すぎるフード(粗繊維7%以上など)は避け、「適度な繊維(3〜5%)」で、かつ「脂質が少し高め」のフードを選んでください。
脂質には便の滑りを良くする効果があります。
パターンB:お腹が弱くて吐く子
あえて「毛玉ケア用」を選ばず、「消化の良い(高タンパク・グレインフリー)」フードを選びましょう。
代わりに「ブラッシング」の回数を増やして、飲み込む毛の量自体を減らすのが正解です。
結論:イメージではなく「数値」で選ぼう
「毛玉ケア」という言葉は、魔法の呪文ではありません。
単に「食物繊維を増やしました」という意味です。
その繊維の量が、あなたの愛猫にとって「スッキリ快便」になる適量なのか、それとも「便秘と嘔吐」を招く過剰量なのか。
それを見極めるためには、パッケージ裏面の「粗繊維 〇〇%以下」という数字を見るしかありません。
当サイトのデータベースでは、「粗繊維」の数値でフードを並べ替えることができます。
「今のフードは繊維が10%もあって合わなかったから、次は5%前後のものを探そう」といった探し方が可能です。
愛猫が苦しそうに吐く姿を見るのは辛いものです。
「毛玉ケア」の看板に頼らず、愛猫のお腹にぴったりの「繊維バランス」を、データで見つけてあげてください。
