【超入門】パッケージの裏側、見ていますか? 獣医に聞けない「キャットフードの選び方」基本のキ
フード選びの基礎

【超入門】パッケージの裏側、見ていますか? 獣医に聞けない「キャットフードの選び方」基本のキ

2025年11月3日

「どのキャットフードを選んだらいいか分からない…」 「うちの子に本当に合っているか不安…」

猫を家族として愛するからこそ、その悩みは尽きません。 ペットショップや通販サイトには、無数のフードが並んでいます。「総合栄養食」「プレミアム」「獣医師推奨」…魅力的な言葉は多いですが、何を基準に選べば良いのでしょうか?

この記事では、フード選びに悩むすべての飼い主さまへ、当サイトのフードアドバイザーが「基本のキ」となる考え方をお伝えします。

■ なぜフード選びは「なんとなく」ではダメなのか?

猫は私たち人間と違い、毎日ほぼ同じものを食べ続けます。つまり、飼い主が選んだそのフードが、愛猫の健康と寿命に直結するということです。

人間であれば「今日は野菜が足りないからサラダを食べよう」と調整できますが、猫はそれができません。だからこそ、毎日与える「総合栄養食」の質が非常に重要なのです。

■ パッケージの「表面」は広告、「裏面」が事実

私たちがまず見るのは、パッケージの表面(オモテ面)です。 「〇〇産チキン使用!」「毛玉ケア」「7歳からのシニア用」

これらは広告(キャッチコピー)です。もちろん嘘ではありませんが、商品の魅力を伝えるための「一部の切り取り」です。

本当に見なければならないのは、パッケージの**「裏面」**です。

  1. 保証成分(栄養成分): タンパク質、脂質などが何%入っているか
  2. 原材料名: 何を使って作られているか
  3. 総合栄養食か否か: そのフードと水だけで健康を維持できるか

この3点、特に「保証成分」と「原材料名」を正しく読み解くことが、フード選びの第一歩です。

■ 難関①:「総合栄養食」と「一般食」の違い

まず、裏面を見て「総合栄養食」と書かれているかを確認してください。

  • 総合栄養食: 猫に必要な栄養素(ビタミン、ミネラルなど)がバランス良くすべて含まれており、そのフードと水だけで健康を維持できると証明されたフードです。主食はこれを選んでください。
  • 一般食(おかずタイプ・副食): いわゆる「おやつ」や「トッピング」です。嗜好性を高めるためのもので、栄養バランスは考慮されていません。これだけを与え続けると、深刻な栄養失調になります。

「総合栄養食」を選ぶ。これが最低限のルールです。

■ 難関②:「原材料名」は“順番”が命

次に原材料名を見ます。ここでのルールは「使用量の多い順に書かれている」ということです。

例A: チキンミール, とうもろこし, 米, コーングルテン, 鶏脂, … 例B: 骨抜きチキン, 乾燥チキン, えんどう豆, じゃがいも, 鶏脂, …

猫は本来「肉食動物」です。タンパク質を最も多く必要とします。 そのため、原材料の一番最初(1番目)に、「チキン」「サーモン」「ラム」といった動物性タンパク質が記載されているかが、良質なフードを見極める一つの基準となります。

例Aのように、穀物(とうもろこし、米など)が先頭に来ている場合、猫にとっては消化しにくい炭水化物で“かさ増し”されている可能性がある、と読み解くことができます。

■ 難関③:「保証成分」は“水分”のワナに注意

最後に保証成分です。 「タンパク質 30%以上」「脂質 15%以上」…

この数字を他のフードと比べようと思った時、最大の壁にぶつかります。それは「水分」です。

  • ドライフード: 水分 約10%
  • ウェットフード: 水分 約80%

ウェットフードの「タンパク質 8%」と、ドライフードの「タンパク質 30%」。 一見ドライフードが圧勝に見えますが、これは水分を含んだ状態での比較であり、全く公平ではありません。

正しく比較するには、水分を除いた「乾物量(ドライマターベース)」で計算し直す必要があります。

計算方法(例:ウェットフード 水分80%, タンパク質8%)

  1. 水分以外の重さ(乾物率) = 100% - 80% = 20%
  2. 乾物量タンパク質 = 8% ÷ 20% × 100 = 40%

なんと、このウェットフードは乾物量換算だと「タンパク質 40%」の超高タンパクフードだったのです。

■ 「面倒」を「確実」に変えるために

…いかがでしょうか。 「一般食を避け、原材料の順番を見て、乾物量計算をする」 たったこれだけのことですが、店頭で、あるいはスマホで、無数のフードを一つひとつ比較するのは、現実的ではありません。

「フード選びの重要性は分かった。でも、結局どれがいいの?」

その声に応えるために、私たちはこのサイトを立ち上げました。

結論:愛猫の健康は「裏面」を読み解くことから。

フード選びの第一歩は、パッケージの「オモテ面」(広告)に惑わされず、「ウラ面」(成分・原材料)という事実を見ることです。 そして、その事実を「乾物量」という公平なモノサシで比較すること。 これが、今日あなたに覚えてほしい「基本のキ」です。

…とはいえ、 「やっぱり計算は面倒」 「原材料を全部チェックするのは大変」 そう思われたかもしれません。その「面倒」と「大変」を解決し、あなたが「比較・判断する」ことだけに集中できるよう、私たちはこのサイトのデータベースを開発しました。

知識(この記事)とツール(データベース)を使って、今日から愛猫のための「事実」に基づいたフード選びを始めましょう。